新型コロナウイルスに感染した看護師か労災認定されました

1 院内感染の看護師労災認定

 

 

新型コロナウイルスのクラスターが発生した

東京都中野区の病院に勤務し,新型コロナウイルスに感染した

看護師について,新宿労働基準監督署が労災認定したようです。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60131190Z00C20A6CE0000/

 

 

労災の申請をしてから約3週間で労災認定されたようで,

迅速に審査がすすんだようです。

 

 

労災認定された看護師は,病院から労災についての説明がなく,

弁護士に教えてもらうまで労災手続を知らなかったとコメントしています。

 

 

 

他方,6月10日時点で,医療機関での

新型コロナウイルスの集団感染が102件起きており,

約550人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染したようです。

 

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/34903?rct=national

 

 

多くの医療従事者が新型コロナウイルスに感染したにもかかわらず,

労災申請まですすんだケースは少ないと思われます。

 

 

その理由として,医療従事者の方々や病院側が

労災についてよくわかっていないことがあげられます。

 

 

2 新型コロナウイルスに感染した医療従事者の労災申請

 

 

そこで,新型コロナウイルスに感染した

医療従事者の労災申請について解説します。

 

 

今年の4月28日に厚生労働省から重要な通達がでました。

 

 

「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」

と題する通達でして,医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

仕事以外で感染したことが明らかである場合を除いて,

原則として労災保険給付の対象となるとされました。

 

 

通常,仕事中に新型コロナウイルスに感染して

労災と認定されるには,仕事中に新型コロナウイルスに

感染した径路を特定する必要があります。

 

 

しかし,感染経路を特定することは非常に困難でして,

新型コロナウイルスの治療の最前線にいる医療従事者に,

感染経路の特定を求めていたのでは,

適切な補償がないまま仕事をさせることになりますので,

医療従事者については,新型コロナウイルスに感染した場合,

原則として労災認定されることになったのです。

 

 

新型コロナウイルスは症状がなくても

感染を拡大させるリスクがあるので,

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した

患者を診療していなくても,労災認定されます。

 

 

そのため,医療従事者がプライベートな活動で

新型コロナウイルスに感染するようなことをしていないのであれば,

新型コロナウイルスに感染すれば,

労災認定されますので,労災申請をすべきです。

 

 

労災認定されれば,治療費が全額,労災保険から支給されますし,

仕事を休んでも,給料の約8割分が休業補償給付として支給されるので,

安心して治療に専念することができるのです。

 

 

 

3 労災申請をするには

 

 

医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合,

まずは,ご自身が勤務している医療機関に対して,

労災申請の手続をとるように求めましょう。

 

 

勤務先の医療機関が労災申請の手続をしてくれない場合には,

自分で労災申請をすればいいです。

 

 

インターネット上にある労災申請に必要な書式に必要事項を記載して,

労働基準監督署に提出すればいいのです。

 

 

労災申請書には,勤務先である事業主の証明欄があり,

勤務先に証明をしてもらいます。

 

 

勤務先か証明欄に署名押印してくれないのであれば,

そのことを労働基準監督署に説明すれば,

労働基準監督署は受け付けてくれますので,問題ありません。

 

 

私が所属している過労死弁護団全国連絡会議では,

6月20日土曜日10時~15時に,

全国一斉の新型コロナウイルスに関する労災の電話相談を実施します。

 

 

石川県の担当は,当事務所ですので,

6月20日10時から15時の時間帯に

076-221-4111にお電話いただければ,

弁護士が無料で電話相談に応じます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。