生出演したテレビでは語り尽くせなかった雇止めされた場合の対処法

1 NHK金沢放送局のテレビ番組に生出演させていただきました

 

 

先日もブログに記載しましたが,

5月29日19時30分に放送された,

NHK金沢放送局のいしかわ令和プレミアム

「取り戻せぬ日常~緊急事態宣言解除の裏で~」

という番組に生出演させていただきました。

 

 

 

生出演のため,編集がきかないこと,

番組の最後での出番だったので時間がなかったことから,

緊張のため早口になってしまい,

伝えたかったことが十分に伝わらなかったと感じました。

 

 

そのため,本日は,テレビの生出演では

十分に伝えることができなかった雇止めの対処法について解説します。

 

 

2 雇止めとは

 

 

契約社員が労働契約の期間の満了によって労働契約が終了すること,

派遣労働者が派遣切りにあうことを雇止めといいます。

 

 

正社員とは異なり,契約社員や派遣労働者は,

労働契約に1年間などの契約期間が定められており,

この契約期間が満了したときに更新されれば,

働き続けることができるのですが,

原則として,契約期間の満了で労働契約が終了してしまい,

仕事を失うことになります。

 

 

期間の定めのある労働契約を更新するか否かの決定権を

会社が握っているので,非正規雇用労働者の雇用は不安定なのです。

 

 

 

3 雇止めの要件

 

 

もっとも,労働契約法19条に規定されている,

次の3つの要件を全て満たす場合には,

期間の定めのある労働契約は,

従前の労働契約と同じ労働条件で更新されて,

雇用が継続することになります。

 

 

①非正規雇用労働者が契約更新の申し込みをすること,または,

契約期間満了後遅滞なく期間の定めのある労働契約の申し込みをすること

 

 

②-1過去に反復して更新されたものであって,

雇止めをすることが,期間の定めのない労働契約を締結している

労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められること

(労働契約法19条1号)

 

 

または,

 

 

②-2期間の定めのある労働契約が更新されるものと

期待することについて合理的な理由があるものと認められること

(労働契約法19条2号)

 

 

③会社が非正規雇用労働者からの申し込みを拒絶することが,

客観的に合理的な理由欠き,社会通念上相当であると認められないこと

 

 

このうち,②の要件が満たされて,

初めて③の要件を検討することになるので,

雇止めの事件では,②の要件が満たされるかが最大の争点となります。

 

 

実務では,②-2の要件が問題になることが多く,

②-2の要件が満たされるかについては,次の要素を総合考慮します。

 

 

ア 仕事内容の臨時性・常用性

 

 

 イ 更新の回数

 

 

 ウ 雇用の通算期間

 

 

 エ 契約期間管理の状況(更新手続が厳格か形式的か)

 

 

 オ 雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無

 

 

例えば,非正規雇用労働者の仕事内容が

正社員と同じようなものであり(ア),

何度も更新されて(イ),通算で長期間働き(ウ),

更新のときに労働契約書を締結することはなく(エ),

社長からいずれは正社員にするなどと言われていれば(オ),

②-2の合理的な期待があったと認定されます。

 

 

 

ただ,この②-2の要件を満たすかについては,

ア~オの要素を総合考慮して判断する必要があるので,

判断が難しいです。

 

 

②-2の要件を満たせば,解雇と同じように③の要件を検討し,

雇止めをする理由がなかったなどの場合には,雇止めは無効になります。

 

 

また,会社は,期間の定めのある労働契約を3回以上更新し,

または,1年を超えて継続雇用している場合に雇止めしようとするときは,

期間満了の30日前までに雇止めの通告をしなければならず,

労働者からの請求があれば更新しない理由を記載した書面を

遅滞なく発行しなければなりません。

 

 

雇止めになっとくいかないときには,

会社が雇止めをした理由を文書で明らかにさせるべきです。

 

 

4 有期労働契約の契約期間の途中での解雇

 

 

なお,期間の定めのある労働契約の期間が満了する前に,

非正規雇用労働者を解雇するには,

労働契約法17条1条に規定されている

「やむを得ない事由」が必要になります。

 

 

この「やむを得ない事由」は,正社員の解雇よりも

厳格に判断されるので,よほどのことがない限り,

非正規雇用労働者を契約期間の途中で解雇することはできないのです。

 

 

雇止めの事件では,解雇の事件と比べて,

②-2の要件の判断が必要となり,

専門的な知識が必要になるので,

雇止めになっとくできないときには,

弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。