新型コロナウイルスに関する妊娠中の女性労働者に対する母性健康管理措置

1 妊娠中の女性労働者の心理的ストレス

 

 

緊急事態宣言が解除され,少しずつですが,

日常生活が取り戻されつつあります。

 

 

それでも,新型コロナウイルスについては,

第2波,第3波がくることが予想されていますので,

いつ感染するのかわからないストレスにさらされることが

当分の間,続きそうです。

 

 

新型コロナウイルスの感染について,特にストレスが多いのは,

妊娠中の女性労働者でしょう。

 

 

 

新型コロナウイルスに感染した妊婦の検診や出産を

受け入れてくれる医療機関が限られていることから,

これまでと比べてリスクが高くなっています。

 

 

そのため,新型コロナウイルスに感染したら,

自分やお腹の赤ちゃんはどうなるのだろうかという心理的ストレスが強く,

母体や胎児に悪影響を及ぼすリスクがあることから,

妊娠中の女性労働者を保護するための措置が新たに始まりました。

 

 

2 母性健康管理措置

 

 

妊娠中の女性労働者の新型コロナウイルス感染症に関する

母性健康管理措置というものです。

 

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11067.html

 

 

妊娠中の女性労働者が,母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき,

新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する

心理的なストレスが母体または胎児の健康保持に影響があるとして,

医師などから指導を受けて,母性健康管理指導事項連絡カードを提出して,

事業主に申し出た場合,事業主は,必要な措置を講じなければなりません

(男女雇用機会均等法13条)。

 

 

ここでいう必要な措置とは,作業の制限,

感染のおそれが低い作業への転換,勤務時間の短縮,

在宅勤務,休業,時差出勤などです。

 

 

感染のおそれが低い作業への転換とは,

顧客と対面で接触する機会が多い作業から,

こうした機会の少ない事務作業などに転換することです。

 

 

事業主は,妊娠中の女性労働者から,

母性健康管理指導事項連絡カードをもとに,

これらの要望を受けた場合,

実施することが義務付けられます。

 

 

 

事業主が要望を受けたけど,何もしない場合には,

労働局から助言指導されることになります。

 

 

そのため,妊娠中の女性労働者は,

仕事や通勤によって新型コロナウイルスに感染する不安を抱えている場合,

主治医に相談して,母性健康管理指導事項連絡カードに記載してもらい,

事業主にカードを提出して,必要な措置を

とってもらうように申し出てください。

 

 

とはいえ,職場に迷惑をかけることを気にして,

なかなか事業主に対して,申し出ができない

妊娠中の女性労働者も多いと思いますので,事業主側から,

妊娠中の女性労働者に対して,

上記の必要な措置をとる必要がないかについて,

はたらきかけていってもらいたいです。

 

 

また,会社は通常どおり営業しているのに,

妊娠中の女性労働者が休業を申し出て休業した場合,

会社の責めに帰すべき事由ではない休業となりますので,

妊娠中の女性労働者が休業をしても,会社は,

法的には休業手当を支払わなくてもよいことになります。

 

 

しかし,休業して収入がなくなることをおそれて,

無理に働くことで,母体と胎児に悪影響が生じるおそれがありますので,

事業主は,雇用調整助成金を活用して,

休業する妊娠中の女性労働者に対して,

休業手当を支払ってもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。