ゴールデンウィーク期間のお休み

当事務所は,ゴールデンウィーク期間中,5月1日から5月6日までお休みをいただきます。

5月7日から営業を再開します。

株式会社金沢倶楽部の破産申立

2020年4月30日,株式会社金沢倶楽部は,金沢地方裁判所に対して,破産手続開始の申立てをしました。

 

今後は,裁判所が,破産手続開始決定をし,破産管財人が選任され,破産管財人が株式会社金沢倶楽部の破産財団に属する財産を管理することになります。

新型コロナウイルス特措法45条の休業要請・休業指示と労働基準法26条の休業手当

1 大阪府による休業要請に応じないパチンコ店の公表

 

 

大阪府は,新型コロナウイルス特措法45条に基づき,

パチンコ店に対して,休業を要請し,店名の公表に踏み切りました。

 

 

しかし,店名を公表しても,パチンコ店が休業に応じず,

むしろ宣伝効果となり,客が集まる結果にもなっているようです。

 

 

 

そのため,大阪府は,休業しないパチンコ店に対して,

特措法45条3項に基づく休業指示をするようです。

 

 

 https://mainichi.jp/articles/20200428/k00/00m/040/256000c

 

 

さらには,特措法による休業指示にも従わない場合に備えて,

罰則規定を設ける法改正の話しまででてきました。

 

 

状況が刻一刻と変わり,日本労働弁護団の

新型コロナウイルスに関する労働問題Q&Aも改訂されたことから,

特措法による休業要請と労働基準法26条の休業手当について,

まとめてみます。

 

 

http://roudou-bengodan.org/covid_19/

 

 

2 特措法24条9項の休業要請の場合

 

 

まず,多くの都道府県で実施されてきた休業要請は,

特措法24条9項に基づくものであり,これについては,

単なるお願いであり,応じなくても,氏名を公表されることはありません。

 

 

特措法24条9項の休業要請の段階であれば,

事業者がこれに自主的に協力しても,

事業者側に起因する経営判断に過ぎません。

 

 

そのため,特措法24条9項の休業要請に応じて,

事業者が休業した場合には,不可抗力ではないとして,

労働者は,会社に対して,労働基準法26条に基づき,

休業手当を請求できると考えられます。

 

 

この点,2020年4月22日のブログでは,

特措法24条9項の休業要請に応じた場合には,

休業手当を請求できない可能性があると記載しましたが,

訂正させていただきます。

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/202004229228.html

 

 

3 特措法45条2項の休業要請の場合

 

 

次に,特措法45条2項に基づく休業要請について検討します。

 

 

 

特措法45条2項によれば,都道府県知事は,

施設の使用の制限若しくは停止を要請できるとされています。

 

 

大阪府によるパチンコ店に対する休業要請は,

特措法45条2項に基づく,パチンコ店という

施設の使用の停止を要請していることになります。

 

 

この特措法45条2項に基づく要請は,行政指導にあたります。

 

 

行政指導とは,行政が相手方を粘り強く説得して,

何らかの行為をさせ,あるいはさせないように働きかけるという

事実行為です。

 

 

行政指導に応じるか否かは,相手方の自由です。

 

 

ただし,特措法45条2項の要請は,

特措法45条4項の公表と相まって,

通常の行政指導よりも強力となっています。

 

 

特措法45条4項の公表は,

どの範囲までの情報を公表するかについて,

行政側に裁量があり,大阪府のように事業者の名前まで

公表する場合もあります。

 

 

休業要請に応じない事業者として名前が全国に公表されますので,

休業要請に応じないと,同調圧力の強い日本では,

バッシングを受けるリスクがあります。

 

 

そのため,特措法45条2項の休業要請については,

罰則規定はなく,法的な強制力はないものの,

事実上の強制力がはたらきます。

 

 

特措法45条2項に基づく休業要請に応じた場合には,

不可抗力に該当する可能性があり,労働者は,会社に対して,

休業手当を請求するのは困難になる可能性があります。

 

 

4 特措法45条3項の休業指示の場合

 

 

さらに,特措法45条3項による休業指示までいけば,

行政処分に該当しますので,不可抗力の要素がもっと強まります。

 

 

行政処分とは,直接国民の権利義務を形成しまたは

その範囲を確定することが法律上認められているものをいいます。

 

 

特措法45条3項に基づく休業指示についても,

特措法45条4項による公表がされますので,

休業指示を受ける事業者に対しては,

強力なプレッシャーになります。

 

 

そのため,特措法45条3項の休業指示に応じて休業した場合には,

より不可抗力に該当する可能性があり,労働者が会社に対して,

休業手当を請求できるのが困難になります。

 

 

以上まとめますと,特措法24条9項の休業要請の段階では,

休業手当の請求は認められている可能性がありますが,

特措法45条2項の休業要請と特措法45条3項の休業指示の

段階までいくと,休業手当の請求は認められない可能性が高くなります。

 

 

とはいえ,雇用調整助成金が拡充されていますので,

仮に不可抗力による休業となるとはいえ,会社には,

雇用調整助成金を活用して,労働者に対して休業手当を支払い,

雇用を維持してもらいたいです。

 

 

労働者は,雇用調整助成金の活用を会社にうったえて,

休業手当を支払ってもらえるように交渉してみてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。