教員間のいじめ問題と公務災害申請

1 東須磨小学校の教員間のいじめ問題

 

 

先日,ブログで紹介した,神戸市の東須磨小学校で発生した

教員間の悲惨ないじめ問題に関して,

被害者の教員が公務災害の申請をすることになったようです。

 

 

https://www.asahi.com/articles/DA3S14220588.html?iref=pc_ss_date

 

 

https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog/201910118636.html

 

 

報道によりますと,激辛カレーを無理やり食べさせて,

苦しんでいる被害者の教員の姿を見て,あざ笑うなど,

陰湿極まりないいじめが行なわれていたようです。

 

 

 

本来,子供達のいじめを防止すべき教員が,

大人のいじめをしていたことに,

多くの方々が憤りを感じたことと思います。

 

 

被害者の教員は,今回のいじめを受けて,

体調を崩し,学校を休んでいるようです。

 

 

2 公務災害の申請

 

 

このように,公務員がいじめやパワハラを受けて,

体調を崩し,仕事を休むことになった場合,

治療費や休んでいる期間の給料が心配になります。

 

 

このようなときには,公務災害の申請をするべきです。

 

 

地方公務員が,仕事が原因で負傷したり,

病気を発症したりした場合,

地方公務員災害補償基金という機関に対して,

公務災害の申請をして,公務災害と認定されれば,

療養補償や休業補償といった補償を受けられるのです。

 

 

民間企業でいう労災が,

地方公務員では公務災害となっており,

認定基準が異なっています。

 

 

地方公務員が,仕事が原因で,精神障害を発症した場合,

「精神疾患等の公務災害の認定について」という認定基準に基づいて,

公務災害が否かが判断されます。

 

 

https://www.chikousai.go.jp/reiki/pdf/h24ho61.pdf

 

 

この認定基準における,精神疾患の公務災害の要件は次の2点です。

 

 

①対象疾病発症前のおおむね6ヶ月の間に,

業務により強度の精神的又は肉体的負荷を受けたことが認められること

 

 

 ②業務以外の負荷及び個体側要因により

対象疾病を発症したとは認められないこと

 

 

この①の要件を検討する際に,精神疾患を発症した地方公務員に

どのような出来事があったのかを分析します。

 

 

強度の精神的又は肉体的負荷の具体的な事象として,

「職場でひどい嫌がらせ,いじめ又は暴行を執拗に受けたと

認められる場合」があげられています。

 

 

 

嫌がらせやいじめを検討するときには,

業務指導の範囲を逸脱しているか,

人格や人間性を否定する言動があったか,

上司に改善を求めたものの改善されなかったか,

いじめや嫌がらせの継続期間

などに着目して分析します。

 

 

3 東須磨小学校の事件に認定基準をあてはめる

 

 

東須磨小学校の事件にあてはめてみます。

 

 

激辛カレーを食べさせるなど行為は,

明らかに業務指導の範囲を逸脱しており,

嫌がる人に無理やり食べさせてあざ笑うという点において,

被害者教員の人格や人間性を否定しています。

 

 

被害者教員は,管理職に被害の実態を訴えたものの,

学校側から加害者教員に対する適切な対応がなされなかったようです。

 

 

そして,いじめや嫌がらせは,単発ではなく,

一定期間継続していたようです。

 

 

そのため,東須磨小学校の事件では,

「職場でひどい嫌がらせ,いじめ又は暴行を執拗に受けたと

認められる場合」に該当すると考えられます。

 

 

被害者教員の公務災害が認定されれば,

治療費の負担はなくなり,

休業期間中の給料が補償されるので,

安心して治療に専念できることになります。

 

 

地方公務員が,いじめや嫌がらせを受けて精神疾患を発症した場合には,

公務災害の申請をすることをおすすめします。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。