労働条件の通知がメールでも可能になる
厚生労働省は,平成30年8月27日,現在は,会社が労働者に
書面で交付することが定められている労働条件の通知方法を,
ファックスや電子メールの送信でも可能とする,
労働基準法施行規則の改正案を示しました。
労働者がメールなどで,労働条件の通知を希望するのであれば,
労働者にとっても,会社にとっても便利になります。
このトピックスに関連して,本日は,
労働条件の通知について説明します。
労働基準法15条1項には,会社は,労働契約の締結に際して,
労働者に対して,賃金・労働時間その他の労働条件を
明示する義務があると規定されています。
さらに,次の5つについては,会社は,
労働者に対して,書面による明示が義務付けられています。
①労働契約の期間に関する事項
②働く場所・仕事の業務内容
③労働時間に関する事項
(始業・終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,
休憩時間,休日,休暇)
④賃金に関する事項(賃金の決定,計算・支払の方法,締日と支払日)
⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)
会社が労働条件を明示しなければならない対象労働者は,
正社員だけでなく,契約社員や派遣社員などの種別を問わず,
全ての労働者です。
また,会社が労働条件を明示しなければならない場面は,
当該労働者と初めて労働契約を締結するときだけでなく,
有期労働契約の期間満了後の契約更新のときや,
定年後の再雇用のときも含まれます。
一般的には,労働契約を締結するときに,会社が労働者に対して,
下記URLにあるような労働条件通知書を交付することがほとんどです。
もっとも,私が労働者から,労働事件の法律相談を受けていると,
石川県の中小企業では,労働条件通知書を労働者に
交付していないことがちらほらとみかけられます。
会社が,労働条件の明示義務に違反した場合,
30万円以下の罰金という罰則がありますので,
会社は気をつける必要があります。
労働者としては,勤務する会社の労働条件が明確になっていないと,
賃金はいくらもらえるのか,
残業をしなければならないのかが分からず,
不安になります。
そこで,労働者は,会社に就職する際に,
労働条件通知書の交付を受けるようにしてください。
法令の改正後に,労働条件の通知をメールで受け取る場合には,
メールの文書を保存するか,プリントアウトして,
大切に保管しててください。
もし,労働条件通知書に記載されている労働条件と,
実際に勤務した後の労働条件が異なっている場合,
労働者は,即時に労働契約を解除することが可能です
(労働基準法15条2項)。
そのため,労働者は,労働条件通知書と異なる労働条件があれば,
会社に対して,その改善を求め,それでも改善されず,
そのような会社で働き続けるのが嫌な場合には,
労働契約を解除すればいいのです。
労働条件通知書は,労働者を守るために重要なものですので,
当たり前のように,全ての会社で交付されるようにしてもらいたいです。
本日も,ブログをお読みいただき,ありがとうございます。