新任教員のうつ病発症・自殺について公務災害が認められた事例
東京都の市立の小学校の新任教員が,公務に起因してうつ病に罹患して自殺したとして,公務外認定処分の取消を求めた裁判において,労働者側が勝訴し,公務災害と認められた地公災基金東京都支部長事件(東京高裁平成29年2月23日判決・労働判例1158号59頁)を紹介します。
被災者は,新任教員で,小学校の学級担任をしていました。被災者が担任をしていた学級では,児童の万引き,上履きや体操着隠し,給食費や教材費の滞納等が発生し,被災者は,対応に苦悩していました。
また,学級通信や研修レポートの作成,テストの採点,教材の作成に加えて,学級でのトラブルの対応により業務量が増加して,自宅でも相当量の作業をせざるを得ない事情が認められました。
新任教員にとっては,日常の学級運営及び校務分掌に加えて,新任研修及び研究指定校の準備業務があり,さらに学級のトラブルに対応しなければらないことから,被災者は,精神的負荷を強め,うつ病に罹患して,自殺したと認定されました。
新任教員の立場から具体的事実が認定されて公務災害が認定されたもので,公務災害を争う際に参考になると思い,紹介します。