在職中の労働者が約2ヶ月の短期間で約500万円の未払残業代を回収した解決事例
1 解決事例の紹介
先日、未払残業代請求事件でうまく解決できたケースがありましたので、
本日は、解決事例を紹介します。
今年の9月中旬ころに、石川県内のある企業に勤務する
労働者2名の方から、残業代が未払になっている
との法律相談を受けました。
相談内容としましては、1ヶ月の残業時間が
80時間を超えることが頻繁にあり、
労働基準監督署が調査や指導しているにもかかわらず、
残業代が支払われていないというものです。
1ヶ月の残業時間が80時間を超えると、
過労死ラインを超えるのですが、
幸い、クライアントは、脳心臓疾患や精神疾患を発症していませんでした。
また、相手方の会社では、
タイムカードで労働時間が管理されており、
クライアントがタイムカードの写しを確保していたので、
労働時間の立証は問題なくでき、タイムカードの打刻漏れがあっても、
パソコンのログデータとメールの送信時刻で補充できました。
そのため、未払残業代請求は問題なく認められるだろうという
見通しがたちましたが、一つ気がかりなことがありました。
2 在職中の未払残業代請求のメリットとデメリット
それは、クライアントがまだ会社に在職している点です。
通常、未払残業代請求をするのは、会社を退職して、
会社と後腐れない関係になってからがほとんどです。
なぜならば、弁護士に依頼して未払残業代を請求することは、
会社にけんかを売るようなものなので、
会社に在職したまま、会社にけんかを売ると、
会社内で有形無形の圧力を受けて、会社に居づらくなり、
会社を退職せざるをえない状況に追い込まれるからです。
そのため、私は、これまでに何件もの
未払残業代請求の事件を担当してきましたが、
会社に在職したまま、クライアントが未払残業代請求をしたのは、
1件だけでした。
そして、その1件の未払残業代請求事件のクライアントは、
事件が終了した後に、会社を退職しました。
会社に在職しながら、未払残業代請求をするのは、
かなり強いメンタルをもっていないとできないものです。
さて、本件事件のクライアントは、強い意思をもって、
会社に対して、未払残業代請求をするという
強靭なメンタルをもっておられました。
また、未払残業代請求を1人ではなく、2人でしたので、
会社内に仲間がいたので、会社から圧力を受けても、
2人で協力して、はねのけることができました。
なお、会社から不当な圧力を受けた場合に備えて、
クライアントに対して、会社で働いてる時間帯は、
常時、録音をするようにアドバイスしました。
他方、会社に在職中に未払残業代請求をする場合には、
メリットもあります。
それは、証拠を簡単に入手できることです。
会社で勤務しているので、タイムカードや就業規則のコピーをとったり、
パソコンのログやメールなどの電磁記録を簡単に入手できるのです。
退職した後に、未払残業代請求をする場合には、まずは、
労働時間を立証するための証拠を確保できるかに頭を悩ませられ、
パソコンのログやメールのデータを入手するために、
証拠保全という裁判手続を実施することもあります。
また、時効を中断しておけば、在職中も残業が続いていれば、
未払残業代の金額が増え続け、請求できる金額が多くなります。
さらに、会社が労働基準法に違反して、
違法に残業代の請求を免れようとしている証拠も入手することができ、
これは、在職中でないとできないことでした。
このように考えますと、会社からの不当な圧力に耐えられる労働者や、
複数人で団結できる場合には、
在職中に未払残業代請求をするのがよいと思います。
本件事件では、私がクライアントの代理人として、
相手方会社に対して、未払残業代請求をしたところ、
会社は、あっさりとこちらの請求を認めてくれて、
遅延損害金をカットした未払残業代の元金をほぼ満額回収できました。
クライアントは、給料が割と高く、長時間残業をしていたので、
未払残業代の金額は高く、クライアント1人当たり、
約500万円の未払残業代を回収することができました。
事件の依頼を受けて、約2ヶ月の短期間で
約500万円の未払残業代を回収できましたので、
クライアントに喜んでいただけました。
クライアントは、今も、相手方の会社で無事に、
勤務を続けています。
残業代の未払については、
労働問題に詳しい弁護士にご相談してみてください。
参考までに当事務所の未払残業代請求のサイトを紹介します。
https://www.kanazawagoudoulaw.com/service/roudou/zangyou
本日もお読みいただきありがとうございます。