会社から休業を命じられた場合に賃金を請求できるのか?

働いている工場の製品の売れ行きが悪いことから,

休業になり,いきなり2週間も自宅待機をさせられました。

 

 

しかも,会社からは,休業期間の給料はゼロと言われました。

 

 

 

労働者には何の落ち度もないのに,

給料がもらえないのでは,

労働者の生活は困難になってしまいます。

 

 

このように,会社の落ち度によって,

休業することになった場合,労働者は,

賃金を請求できないのでしょうか。

 

 

本日は,休業手当について解説します。

 

 

休業とは,労働契約によって,

労働者に労働義務がある時間について,

労働者が労働をなしえなくなることをいいます。

 

 

休業の場合,労働者が会社に賃金を請求できるかは,

休業の原因が労働者と会社のいずれにあるかによって決まります。

 

 

休業の原因が労働者にある場合,

労働者が自分の落ち度で労働義務を履行できなくなったので,

賃金を請求することはできません。

 

 

次に,地震や台風などの自然災害によって,

工場が壊れてしまい,休業することになった場合,

休業の原因が会社にも労働者にもありません。

 

 

 

 

このような不可抗力で休業することになった場合,

労働者は,会社に対して,賃金を請求できません(民法536条1項)。

 

 

ただし,就業規則などに,不可抗力で

休業することになった場合にも賃金が支払われることが

記載されていれば,賃金を請求することができます。

 

 

休業の原因が会社にある場合,労働者は,

原則として,賃金全額を請求することができます。

 

 

社長の怠慢による営業活動の不振で製品が売れなくなり,

会社が労働者を休業させたような場合には,

労働者は,賃金全額を請求できるのです(民法536条2項)。

 

 

もっとも,社長が営業活動をしっかりやったものの,

製品の売れ行きが悪くて自宅待機をさせられたり,

取引先の落ち度によって原材料不足となり,

会社を休業することになった場合など,

労働者が働いていないのに,会社が賃金全額を

支払わなければならないのが酷な場合もあります。

 

 

 

 

しかし,会社側に明確な落ち度がなかったり,

防止が難しかったものであっても,

会社側の領域で生じた休業の場合,

労働者は,会社に対して,平均賃金の6割以上の

休業手当を請求することができます。

 

 

労働基準法26条では,休業手当を請求できるのは,

使用者の責めに帰すべき事由」があるときと定められています。

 

 

給料は労働者の生活の糧であり,休業手当は,

労働者の生活保障のために定められたものであるため,

「使用者の責めに帰すべき事由」は広く捉えられており,

会社側の経営,管理上の領域の問題で休業することになった場合,

労働者は,会社に対して,休業手当を請求できるのです。

 

 

そのため,製品の売れ行きが悪くて

自宅待機を命じられた場合でも,

労働者は,会社に対して,

賃金全額若しくは平均賃金の6割以上の休業手当を

請求することができるのです。

 

 

会社から休業期間中は,給料はでないと言われても,

それを鵜呑みにせずに,しっかりと賃金を請求するようにしてください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。