パワハラは許されません!
長崎市の広告代理店に勤務していた男性労働者が,
パワハラや長時間労働で適応障害になり,
休職に追い込まれたとして,
会社に対して損害賠償請求の裁判を提起し,
合計2000万円の損害賠償請求が認められました。
原告の男性労働者は,「おまえはクビだ」などと
何度も叱責を受けたいたようで,
業務上の指導を逸脱した執拗ないじめ行為
があったと認定されました。
https://mainichi.jp/articles/20181207/k00/00m/040/225000c
このようなパワハラの被害が頻繁に起きています。
全国の労働局で実施されている労働相談で一番多いのは,
「いじめ・嫌がらせ」の相談で約7万2000件と
15年連続で増加しています。
また,パワハラを受けて精神障害を発症して
労災認定される件数も年々増えています。
職場のパワハラは,労働者の尊厳や人格を傷つける
許されない行為であるにもかかわらず,
パワハラを防止するための法律は今までありませんでした。
そこで,職場のパワハラ防止は喫緊の課題であり,
対策を抜本的に強化することが社会的に求められていることから,
パワハラを防止するための法律を制定する動きがでています。
12月14日に,労働政策審議会が,
職場でのパワハラ防止策に取り組むように
企業に義務付けるための報告書をまとめました。
報告書では,職場のパワハラの定義について,
以下の3つの要素を満たすものとしました。
①優越的な関係に基づく
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
③労働者の就業環境を害すること
(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
このように定義されたパワハラについて,
会社は,次のような,パワハラを防止するための
雇用管理上の措置を講じることを法律で義務付けられます。
①職場のパワハラがあってはならない旨の方針の明確化や,
パワハラが確認された場合には厳正に対処する旨の方針や
その対処の内容について就業規則へ規定し,
それを周知・啓発すること
②パワハラの相談に適切に対応するために
必要な体制の整備をすること
③パワハラの相談を受けた後の迅速,適切な対応
(相談者からの丁寧な事実確認など)
④相談者のプライバシーを保護する措置
その他にも,職場のパワハラに関する紛争解決のための調停制度や,
行政機関による助言や指導などについても法律で規定されます。
パワハラ行為そのものを処罰したり,
損害賠償請求するための根拠規定は見送られましたが,
パワハラは許されないものであると法律で明示されることで,
パワハラが抑止されることが期待できますので,一歩前進です。
パワハラを防止するための法律ができることで,
会社がパワハラを防止するための
雇用管理上の措置義務を怠ったとして,会社に対して,
損害賠償請求をしやすくなると考えます。
今後は,パワハラの定義に該当するか否かを
明確にするための具体例が指針で明記されますので,
一般の人に,どこまでいけばパワハラになるのかが
理解されやすくなる可能性があります。
パワハラを防止するための法律が成立して,
パワハラで苦しむ労働者が少なくなることを期待したいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。