同一労働同一賃金のガイドラインの作成

働き方改革関連法で企業に求められる

同一労働同一賃金」について,現在,

厚生労働省の労働政策審議会において,

具体的なルールを定めるガイドラインが作成されています。

 

 

 

同一労働同一賃金とは,同じ内容の仕事をしているのであれば,

同じだけの賃金が支払われるべきというものであり,

正社員と非正規雇用労働者との賃金格差をなくすための切り札です。

 

 

現在のガイドライン作成において,重要なことが議論されています。

 

 

それは,正社員と非正規雇用労働者との間の

不合理な待遇の相違を解消するためには,

労働者と会社とで合意することなく,

正社員の待遇を引き下げることは望ましくないとしていることです。

 

 

正社員と非正規雇用労働者との格差を解消する方法には2つあります。

 

 

 

 

1つは,非正規雇用労働者の待遇を正社員の水準にあげることです。

 

 

非正規雇用労働者の労働条件が向上するので,

非正規雇用労働者の仕事に対するモチベーションがアップします。

 

 

正社員の労働条件はそのままなので,

正社員にもとくに不満はありません。

 

 

これが本来のあるべき姿です。

 

 

もう1つは,正社員の待遇を非正規雇用労働者

の水準に引き下げることです。

 

 

非正規雇用労働者にとっては,

格差が解消されて不満は多少減るかもしれませんが,

正社員にとっては,労働条件が引き下げられてしまうので,

仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。

 

 

このように,労働者の同意なく,

労働条件を一方的に不利益に変更することは

原則として認められません(労働契約法8条,9条)。

 

 

今回のガイドラインでは,格差を解消するために,

正社員の待遇を引き下げるのではなく,

非正規雇用労働者の待遇を向上させることを

求めていることが重要なポイントとなります。

 

 

また,働き方改革関連法では,

正社員と非正規雇用労働者との待遇の違いについて,

非正規雇用労働者から理由の説明を求められた場合,

会社は,格差の理由を説明することになりました。

 

 

 

 

例えば,正社員と非正規雇用労働者との待遇の実施基準である,

賃金規程における等級表などの正社員の待遇の水準が

把握できるものの説明が求められます。

 

 

「賃金は,各人の能力,経験などを総合考慮して決定する」

という抽象的な説明ではだめで,

「この基準をこのように適用しているのでこのような差になっている」

具体的に説明しなければならないのです

 

 

今後,企業は,正社員と非正規雇用労働者の待遇の差が

あいまいなまま放置されていたのであれば,

それを解消しなければなりません。

 

 

他方,非正規雇用労働者は,自分の待遇を

正社員の水準に引き上げるチャンスですので,

同一労働同一賃金を積極的に活用していってもらいたいです。

 

 

同一労働同一賃金の施行は,

大企業が2020年4月から,

中小企業が2021年4月からです。

 

 

本日もお読みいただき,ありがとうございます。