福に憑かれた男
私が所属している青年法律家協会の議長である
名古屋の弁護士の北村栄先生から紹介していただいた
という本を読みましたので,アウトプットします。
町の小さな書店で起こる物語をつうじて,
人が幸せになるにはどうすればいいのかについて
学ぶことができる素晴らしい小説です。
主人公の秀三は,突然他界した父親が経営していた
長船堂書店を継ぐことになりました。
最近話題の事業承継をしたのです。
ところが,長船堂書店の近くに,巨大な書店が
オープンすることになりました。
ただでさえ,長船堂書店の売上が少ないのに,
近くに巨大な書店がオープンすれば,
顧客が巨大な書店へ流出することになり,
ますます売上が減少していきます。
秀三は,意気消沈し,お店の中で売れ残りの本
を読みながら,不安な生活をしていました。
秀三に,このような苦難を与えているのは,
実は,秀三に憑いた福の神の仕業だったのです。
福の神が,秀三に対して,苦難を与え,
秀三が苦難を乗り越えることで成長して
幸せになってもらおうとしたのです。
私が所属している倫理法人会では,「苦難は幸福の門」といいます。
幸福になるための狭き門へつうじる苦難が与えられたのです。
もっとも,福の神の与える苦難が大きすぎたため,
秀三が諦めかけたので,福の神は,秀三にチャンスを与えます。
そのチャンスとは,
成功したことを心から楽しんで生きている人との出会いです。
福の神の計らいにより,秀三は,天晴という老人と出会います。
そして,天晴は,秀三に対して,次のようなアドバイスをしました。
「来てくれるお客さん一人ひとりに,
その人の人生に興味を持って接してご覧なさい。
その人が誰で,どういうことに興味があって,
どんな仕事をしていて,趣味は何か。
好きなことや嫌いなことは何であるか。
どんなことに悩んでいて,何に苦しんでいるのか。
『この人はこれからの人生をどういう人生にしたいと考えているんだろう』
ってな具合に,どんなに小さなことでもいいから
興味を持って話をしてみるんじゃよ。」
目の前にいる人に心から興味を持つ。
秀三は,天晴のアドバイスを素直に実践しました。
長船堂書店へ来た顧客をよく観察し
,タイミングを見計らって話しかけ,顧客の話を聞き,
顧客が必要としている本を提案します。
顧客は,本屋で店員に話しかけられることに当初は戸惑いますが,
秀三と話しているうちに,秀三の人柄にひかれ,
悩んでいることを打ち明けてくれるようになります。
そして,秀三は,顧客の悩みを解決するのにふさわしい本を提案し,
顧客は,その本を読み,悩みを解決していきます。
すると,顧客は,長船堂書店のファンになり,
じょじょに売上が回復していきました。
差別化戦略がうまくいきだしたのです。
秀三は,成功し始めましたが,なぜか不安になりました。
欲しいものを手に入れると,それを失うことが怖くなるからです。
秀三は,天晴に相談しました。
天晴は,何かを手に入れれば幸せと考えている人は,
それを持っている他人をみてうらやましいと思っているだけであり,
他人と比較して幸せを感じようとすると
いつまでたっても幸せになれないと言います。
そして,天晴は,秀三に対して,自分の人生を
何に使おうとしているのかを考えなさいとアドバイスします。
考えなければならないのは,どうやって自分の欲しいものを
手に入れるのかではなく,どうしてそれを
手に入れなければならないのか,という自分の使命なのです。
秀三は,自分の使命を自覚し,
それを達成するために必要なものだから,
お金を集める努力をしたり,
商売を成功させる必要があると考えるようになりました。
自分の使命を自覚すれば,不安はなくなり,迷わなくなるのです。
最後に,福の神が憑くことになる人を紹介します。
「人知れず他の人のためにいいことをする」
「他人の成功を心から祝福する」
「どんな人に対しても愛をもって接する」
福に憑かれる人になれるように,今後とも精進していきます。
人が幸せになるためにはどうすればいいのかについて,
福の神からアドバイスをもらいながら,
楽しく学べることができる素晴らしい小説ですので,
紹介させていただきます。
本日もお読みいただき,ありがとうございます。