お盆休みのお知らせ

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その他の日は,暦どおりに営業しております。

研修の時間は労働時間なのか

屋内プールでアルバイトをしている労働者が,

研修期間中,プールの監視員の仕事をしたものの,

会社からは,研修期間中の給与は支給しないと言われてしまいました。

 

 

 

 

この労働者は,1日8~9時間働き,

4日間で合計34時間働きました。

 

 

当初,会社からは,研修期間の給与は3万円と言われていましたが,

この3万円すら支払われなくなってしまいました。

 

 

本日は,研修は労働時間となるのか否かについて解説します。

 

 

まず,労働時間といえるためには,

労働者が会社の指揮命令下に置かれれている必要があります。

 

 

所定労働時間(会社から決められている働く時間)内の労働は,

会社の指揮命令下に置かれれています。

 

 

そのため,所定労働時間内に行うべき研修については,

労働時間性が認められます

 

 

 

 

それでは,所定労働時間内に行われるべきものとはいえない

研修についてはどうでしょうか。

 

 

この点について,行政解釈は,

労働者が使用者の実施する教育に参加することについて,

就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく

自由参加のものであれば,時間外労働にはならない」とされています。

 

 

すなわち,業務との関連性が認められる研修は,

会社の明示または黙示の指示に基づくものであり,

その参加が事実上強制されているときには,

労働時間と認められます。

 

 

他方,研修への自由参加が保障されている場合には,

労働時間とは認められないことになります。

 

 

さて,冒頭の相談の場合,研修とはいうものの,

8~9時間,プールの監視員として,実質的に働いていますので,

会社の指揮命令下に置かれていたといえますので,

研修の時間は労働時間にあたると考えられます。

 

 

研修の時間は労働時間なので,労働者は,

労務を提供した代わりに,会社に対して,給料を請求できます。

 

 

また,研修期間の給与3万円についても,

研修期間の総労働時間を3万円で割って,

時給を計算した場合,最低賃金を下回っている可能性があります。

 

 

最低賃金以下で働かせることは明らかに違法であり,労働者は,

最低賃金と実際の給料との差額を会社に請求することができます

 

 

研修の労働時間性が問題になるのは,

所定労働時間外に行われた研修に参加した場合に,

残業代が請求できるかというケースであり,

所定労働時間内に研修という名のもと,

実質的に仕事をしていた場合には,

労働時間と認められるのです。