高度プロフェッショナル制度の危険性
平成30年4月6日,働き方改革関連法案が閣議決定されて,国会に提出されました。今後,国会で,働き方改革関連法案が審議されていきます。
この働き方改革関連法案の中で一番問題なのは,高度プロフェッショナル制度,通称高プロと呼ばれるものです。高プロとは,年収が一定以上の労働者の労働時間規制を除外するものです。簡単に言うなら,高プロが適用される労働者は,どれだけ働いても,残業代がゼロになってしまいます。そのため,高プロは,残業代ゼロ法案として,批判されています。
なぜ高プロがこれほど批判されているのかといいますと,長時間労働を原因とする過労死や過労自殺が後を絶たず,長時間労働の規制が叫ばれている中,労働時間の規制を撤廃すれば,より長時間労働が助長されて,過労死や過労自殺が蔓延する危険性があるからです。
高プロでは,上司がノルマを課したり,仕事の仕方を指示することが可能なので,仕事の量の決定権がない労働者は,際限のないノルマを課せられて,より過酷な長時間労働に陥ってしまう危険があります。
高プロは,今のところ,金融商品の開発,ディーリング業務,アナリスト,コンサルタント,研究開発業務の5種類で,年収1075万円以上の労働者が対象とされています。
しかし,これらの5種類の対象業務は,厚生労働省令で定められるので,国会の議論を経ずに,拡大される危険があります。また,年収要件も,1075万円以上から,段階的に引き下げられて,対象労働者が拡大する危険もあります。
高プロが適用されて,得をする労働者はいないと思いますので,労働者の方々には,高プロに反対してもらいたいです。
なお,高プロの問題点については,日本労働弁護団の解説パンフレット(http://roudou-bengodan.org/topics/5055/)に,分かりやすい説明が掲載されていますので,ぜひ参考にしてみてください。
また,今回のブログは,朝日新聞に掲載されていた南山大学法学部の緒方桂子教授のインタビュー記事を参考にさせていただきました。