ヤマト運輸の未払残業代総額約230億円

 7月18日に,ヤマト運輸のセールスドライバー約59,000人に対して,総額約230億円の未払残業代が支払われたようです。とてつもない金額の残業代です。

 

http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/18/yamato_n_17521924.html

 

 トラックドライバーの場合,トラックにデジタルタコグラフという走行距離や走行時間が記録される装置が搭載されているため,デジタルタコグラフの記録さえ入手できれば,労働時間の立証は問題ありません。デジタルタコグラフのデータから労働時間を確定させて,残業代を計算したのであれば,正確な残業代が支払われることになると思います。今回のヤマト運輸でも,デジタルタコグラフから残業代が算出されていれば問題ないと考えます。

 

 そして,長距離トラック運転手の場合,深夜に働くことになりますので,深夜の割増賃金が発生するので,残業代が高額になる傾向にあります。私が担当した長距離トラック運転手の残業代請求の事件では,数百万円の残業代が認められました。また,ヤマト運輸の残業代の報道がなされてから,ヤマト運輸のトラック運転手の働き方を見ていると,朝早く出勤し,お昼休憩をとらずに働き,夜の配達をしているので,ほぼ毎日8時間労働を超過して残業代が発生します。

 

 ヤマト運輸は,高額な残業代を支払うことになったので,残業代をなくそうというインセンティブがはたらき,トラック運転手の労働条件が改善されることが期待されます。もっとも,ヤマト運輸以外のトラック会社では,残業代が支払われないまま長時間労働を強いられているトラック運転手が多く存在していると思います。ヤマト運輸の残業代問題を契機に,ヤマト運輸以外のトラック会社でも未払残業代の問題が少しでも改善されることに期待したいです。