連合に対して労働者がデモ

 平成29年7月20日の朝日新聞の報道によると,7月19日の夜,連合本部の前で約100人の労働者が,高度プロフェッショナル制度の成立に合意した連合に対して,反対の意見を表明するためにデモをしたようです。

 

http://www.asahi.com/articles/ASK7M5HXFK7MULFA01N.html

 

 デモでは,「残業を勝手に売るな」,「連合は勝手に労働者を代表するな」というコールがされたようです。高度プロフェッショナル制度が導入されれば対象者は,何時間働いても残業代はゼロになるので,「残業を勝手に売るな」という指摘はそのとおりです。そのため,労働者側の立場であれば,高度プロフェッショナル制度に反対するはずなのに,それに条件付きとはいえ賛成したのでは,労働者の立場で労働者の意見を代弁しているとはいえず,「連合は勝手に労働者を代表するな」という労働者の怒りの声ももっともです。

 

 今の法案では,年収1075万円以上の労働者が対象ですが,人件費削減の目的で,いずれこの年収要件が緩和され,広い範囲の労働者に対して,残業代ゼロが適用されるおそれがあります。そうなれば,残業代を支払うことで長時間労働を是正する機運が減少し,長時間労働が蔓延し,過労死や過労自殺が増加するおそれがあるのです。

 

 日本では,労働者の約2割くらいしか労働組合に所属しておらず,労働組合が会社や政府に,労働者の意見を届けるのは難しい状況にあります。そのような現状で,連合が政策決定過程に労働者の代表として関与していることは重要です。連合には,今一度,高度プロフェッショナル制度を廃止するために頑張ってもらいたいです。

 

 労働組合が労働者にとって魅力ある存在になれれば,労働組合への加入率が増加し,企業と交渉して有利な労働条件を勝ち取り,労働者の労働条件を改善できたり,政策に労働者の意見を反映させることができる余地が生まれるのではないかと考えます。