ライドシェアについて考える
昨日の北越労働弁護団総会において,
東京の弁護士中村優介先生から,
ライドシェアについて講義を受けましたので,
アウトプットします。
ライドシェアとは,いわゆる相乗りのことで,
時間が空いていて自家用車を提供できる運転手が,
アプリから配車依頼があれば,利用者のもとへ迎えに行き,
利用者を目的地まで送るという仕組みです。
ライドシェアで,世界一はアメリカの
ウーバー・テクノロジーズです。
アメリカで実際にウーバーの配車サービスを利用した
中村先生の話によると,まずは,
ウーバーのアプリをダウンロードして配車依頼をすると,
近くにいた運転手が2~3分で迎えに来たようです。
東京で地下鉄を待つより早いかもしれませんね。
中村先生は,40キロ移動したので,
東京でタクシーに乗車したら,
約15,000円から20,000円の運賃がかかるところ,
ウーバーの場合は,約4,000円の運賃しかかからなかったようです。
日本のタクシーと比べると,おそろしく安いです。
車に乗るときに料金が決まっているので,
到着に時間がかかっても値段は変わらず,
さらにクレジット決済なので,手持ちの現金が減りません。
利用者からすると,とても安くて便利なのです。
一方,ウーバーの運転手の報酬は,
ウーバーが運賃から手数料2~3割をひくので,
1回の走行で得られる利益は低く,
数をこなさなければ生活できる水準の利益を確保することは困難です。
さらに,この手数料が突然,
ウーバーから一方的に変更されるときがあり,
運転手の利益が急に減少することもあるようです。
このようなライドシェアのようなものを
シェアリング・エコノミーといいます。
シェアリング・エコノミーとは,
「場所や時間などの遊休資産をインターネットの
プラットフォームを介して個人間で貸し借りしたり,
交換したりすること」をいいます。
ウーバーにあてはめると,
時間と自家用車があいている運転手と,
今手元に自動車はないけど目的地へ移動したい観光客などが,
ウーバーが提供しているアプリでマッチングされて,
運転手が観光客などを目的地へ送ることで,
運転手には報酬が支払われ,観光客は安く移動できて,
両者にとってウィンウィンの関係になるということです。
利用者からすると,安くて便利なすごいサービスなのですが,
いろいろな問題が生じているようです。
まず,ウーバーが流行すると,利用者は,
ウーバーの方が安くて便利なので,
既存のタクシーを利用しなくなり,
ウーバーばかり利用するので,
タクシー会社が倒産します。
実際に,アメリカでは,タクシー会社の倒産が増えているようです。
すると,タクシー会社で働いていた運転手は,
ウーバーに登録することになりますが,
運賃が安いうえに,ウーバーに手数料をとられるので,
収入が激減します。
収入をあげるためには,1日に何回も
送迎しなければなりませんので,
低賃金による長時間労働が蔓延してしまい,
運転手の過労死・過労自殺のリスクが高まります。
副業でライドシェアをするなら
小遣い稼ぎにいいかもしれませんが,
タクシー会社が倒産して,やむなく本業で
ライドシェアをしなければならない運転手にとっては,
生活していくのが相当に困難になることが予想されます。
このように,ライドシェアには,
運転手の保護をどうしていくのかという
労働法上の問題点があります。
長くなりましたので,ライドシェアの問題点の
続きについては,明日以降に記載します。