勤務間インターバル制度,年休,残業代の法改正

6月29日に成立した働き方改革関連法のうち,

本日は,その他の法改正について解説します。

 

 

まずは,勤務間インターバル制度です。

 

 

勤務間インターバル制度とは,

仕事が終わってから次の仕事が始まるまでに,

一定時間の休息を確保させる制度です。

 

 

 

 

EUでは,企業に対して,終業と始業の間に

連続11時間の休息をとらせるように義務付けられています。

 

 

11時間のインターバルが必要になった場合

例えば,午後11時に仕事が終わったとしたら,

翌日の出社は,午前10時以降にしなければなりません。

 

 

勤務間インターバル制度は,休息なしで

連続勤務することを防止することで,

労働者の健康を確保することにつながり,

過労死を防止する切り札となります。

 

 

特に,夜勤労働者の場合,日勤に比べて

疲労がたまりやすいため,十分な休息期間を確保して,

疲労を回復させる必要があることから,

夜勤労働者がいる職場でこそ,

勤務間インターバル制度の導入が求められます。

 

 

もっとも,この勤務間インターバル制度の

導入については,企業に対する努力義務であり,

必ず導入しなければならないものではなく,

実際に導入している企業は1.4%程度です。

 

 

今後は,勤務間インターバル制度を導入する企業が

多くなるように,法整備がなされていくことが期待されます。

 

 

次に,年休(年次有給休暇)についてです。

 

 

2019年4月から,企業に対して,

1年間に10日以上の年休が与えられている労働者に対して,

最低5日を消化させることが義務付けられました

 

 

 

 

 

労働者が5日未満しか消化できなかった場合,

企業に対して,労働者一人当たり

最大30万円の罰金が科せられます。

 

 

労働者は,入社後,6ヶ月継続勤務して,

8割以上出勤すれば,1年間に10日の年休を取得できます。

 

 

年休を取得した日について,労働者には賃金が支払われます。

 

 

しかし,休むことによって,

会社や同僚に迷惑をかけてしまうと思ってしまい,

年休を消化できていない労働者が多いと思います。

 

 

そこで,年休を取得することを促進するために,

今回の法改正が行われたのです。

 

 

労働者としては,年休をしっかりと消化しないと,

逆に会社に迷惑がかかるので,遠慮なく休めばいいことになります。

 

 

最後に,中小企業の残業代についてです。

 

 

2023年4月から,1ヶ月60時間を超えて

時間外労働をさせた場合,中小企業に対して,

5割増の残業代を労働者に支払うことが義務付けられます。

 

 

 

 

既に,大企業では,1ヶ月60時間を超えて時間外労働させた場合,

5割増の残業代を支払わなければなりませんが,

中小企業に対しては,これが猶予されていたのです。

 

 

今回の法改正で,この猶予がなくなり,

1ヶ月60時間を超えて時間外労働をさせた場合,

中小企業の残業代が増加します。

 

 

中小企業は,長時間労働を是正しなければ,

人件費が増加して,経営が悪化するリスクがありますので,

労働生産性を向上させる必要があります。