傷病休職と職場復帰
傷病休職は,働くことができない原因が労働者の負傷または疾病にある休職をいいます。仕事が原因で労働者が負傷または疾病に罹患した場合には,労災となりますが,仕事以外の原因で労働者が負傷または疾病に罹患して,ある程度の期間仕事ができない場合に,一定期間労働者による労務提供を免除することが傷病休職です。
仕事以外の原因で労働者が負傷または疾病のために仕事ができなくなった場合,労働者は,休業4日目以降に,傷病手当金の支給を受けることができます。傷病手当金の支給期間は,支給開始から最長1年6ヶ月です。傷病手当金の支給額は,1日につき標準報酬日額の3分の2とされています。
傷病休職で休んでいた労働者が職場に復帰するためには,休職の原因となっていた負傷または疾病が治癒したことが必要となります。ここで治癒とは,原則として,従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したことをいいます。他方,治癒に至っていなくても,労働者の職種に限定がなく,他の軽易な職務であれば対応できて,軽易な職務へ配置転換することが現実的に可能であったり,当初は軽易な職務に就かせれば程なく従前の職務を通常に行うことができる場合にも職場復帰が認められます。
職場復帰に至るには,通所は次のような手続になります。労働者は,まず主治医の職場復帰についての意見が記載された診断書を会社に提出します。その後,会社は,当該労働者と産業医を面談させて,産業医の意見を聴取します。リハビリ出勤制度があればそれを実施し,それらの結果を踏まえて,職場復帰の可否判定を行い,本人にその結果を伝えることになります。
労働者が,主治医の職場復帰が可能であるとの診断書を提出したにもかかわらず,会社が,産業医の意見を聞かずに,漫然と職場復帰を認めない場合,労働者は,会社に対して,労務を提供しているのに,会社が不当にこれを拒否していることになり,賃金を請求することができます。