仕事の思想
田坂広志先生の「仕事の思想~なぜ我々は働くのか~」
という本を読みましたので,アウトプットします。
「なぜ我々は働くのか」という問を考えながら,
こころに抱くべき仕事の思想を探求していくという名著です。
仕事の思想を考えるときに最初に突き当たる問があります。
「仕事の報酬とは何か」
まずは,「仕事の報酬は給料」という世界です。
稼いだ給料で自分の好きな人生を送るというものです。
次に,仕事に一生懸命取り組んでいくと,
すこしずつ仕事のスキルやノウハウが身について,
仕事の能力が磨かれていきます。
自分のプロフェッショナルとしての能力が
確実に高まっていくことに対して,
実感と満足感を持つことができるのです。
この段階が「仕事の報酬は能力である」という世界です。
仕事のスキルやノウハウを磨いていくと,
自分がやりたかった,やりがいのある仕事に取り組めるようになります。
この段階が「仕事の報酬は仕事である」という世界です。
最後は,「仕事の報酬は成長である」という世界です。
我々は,仕事をとおして,ひとりの人間として
成長することができ,その成長を実感して
喜びを味わうことができます。
人間として成長すると,
「こころの世界が見えるようになってくる」のです。
こころの世界が見えるとは,顧客や職場の仲間の気持ち
がわかるようになり,「うまく働くこと」ができるようになります。
我々は,「仕事の報酬は成長である」ことを
見誤らないようにしないといけません。
では,人が成長するにはどのような方法があるのでしょうか。
一つは,夢を語り,目標を定めることです。
夢を本気で語ることで,人間は成長していくために
力を振り絞ることができます。
また,人間は,目の前に明確な目標があるから,
それに向かって力を振り絞ることができて,力が伸びていくのです。
そして,夢や目標を人前で堂々と語ることで,
おのずとその発言に対して責任を負い,
自分自身を追いつめて成長することにつながるのです。
もう一つ成長する方法があります。
それは,顧客を鏡として見ることです。
顧客は我々の成長の鏡なのです。
文句や不満を言ってくる厳しい顧客は,
その文句や不満を通じて,私たちの未熟な姿や
誤ったこころの姿勢を鏡のように映し出してくれる,
優しい顧客なのです。
本当に怖いのは,黙って去る顧客です。
黙って,こちらの仕事の能力がないと判断して
去っていくので,顧客が気持ちのなかに抱いている
不満やクレームが見えないからです。
この黙って去る顧客に対して,こころを澄ませて,
注意深くみると,かならずその文句や不満を
「無言のメッセージ」として発しているので
これに気づく力量をもつ必要があります。
無言のメッセージを聞くためにも,
細やかな気配りや繊細な感受性,
さらには鋭い直観力や深い洞察力など,
人間としての高度な能力が求められます。
「仕事の報酬は成長である」ことを理解し,
夢を語り,目標を設定し,
顧客を鏡とすることで,
私たちは成長していくことができます。
仕事について深く考え,多くの気づきを
与えてくれる名著として紹介させていただきます。
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