石川県金沢市の労働弁護士徳田隆裕のブログです。
未払残業・労災・解雇などの労働事件を中心に,
法律問題を分かりやすく解説します。
労働者の方々に役立つ情報を発信していきますので,
よろしくお願いします。
笑顔相続セミナーを開催します2~祖母のときの相続~
昨日は,私の祖父の遺産をめぐり,
私の父が泥沼の法廷闘争へ巻き込まれていったことについて,
ブログに記載しました。
この話には続きがあります。
私の祖母が亡くなったときに,
今後は祖母の遺産をめぐり再び紛争が勃発したのです。
ただ,祖父の遺産分割のときと違うのは,
私が弁護士になっていたという点です。
弁護士の私が間に入って,なんとか遺産分割協議をまとめました。
本日は,私の祖母の遺産分割協議のことをお話します。
弁護士になって4年目くらいに祖母がなくなり,
祖母が残した遺産を5人の兄弟姉妹で
どうやって分割するかが問題となりました。
祖父の遺産分割で裁判闘争までした祖母と父でしたが,
裁判から10年以上経過すると,次第に関係は改善し,
祖母と父は仲良くなっていきました。
そのためか,祖母は,父のために遺言書を残してくれました。
遺言書には,遺産の全てを父に相続させる
ということだけが書かれていました。
祖父の遺産分割をめぐって激しく対立した祖母と父でしたが,
その後も,同じ屋根の下で生活し続け,体力が衰えてきてから,
祖母が父を頼るようになって,仲が改善し,
過去の裁判闘争の懺悔のためか,祖母は,
父に全ての遺産を取得してもらいたかったのかもしれません。
しかし,この遺言書では,母の遺産をめぐって,
5人の子供が,再び泥沼の争いをする危険がありました。
それの原因は遺留分です。
遺留分とは,遺言書によっても奪うことができない,
相続人に認められた財産を取得できる最低限の権利のことです。
祖母の相続の場合,相続人は5人なので,
父以外の兄弟姉妹には1/10の遺留分が認められます。
祖母の遺産は,土地が4筆と預金が数百万円でした。
たしか,1人あたりの遺留分の金額は
500~600万円くらいになったと記憶しています。
預金が多くあれば,他の兄弟姉妹に遺留分に相当する預金を渡して,
それで解決するのですが,区画整理の後に評価が上がった土地があるため,
遺留分の金額が高くなり,祖母が残した預金では
遺留分に相当する金額をまかなえませんでした。
田舎育ちの父は,先祖代々残してきた土地を
手放したくないという考えを持っていたので,
土地を売って遺留分に相当するお金を支払う
という方法はとりたくなったのです。
かといって,父は,自腹を切ってまで,
祖父の遺産分割でもめた兄弟姉妹に遺留分を
支払うことに難色を示していました。
そのため,祖母の遺言書はなかったことにして,
祖母の遺言書に従わずに,5人の兄弟姉妹で
協議して遺産分割をすることにしました。
父は,一度は疎遠になっていた,
私の伯母(長女)と私の叔父(二男)との関係を改善させ,
伯母と叔父が父の味方になってくれました。
また,祖父の遺産分割調停では相手方になっていた私の叔父(三男)も,
父の話に耳を傾けてくれて,父の味方になってくれました。
しかし,私の叔母(二女)は,祖父の遺産分割での
積年の恨みが消えず,対立は続きました。
その結果,長女・長男・二男・三男VS二女
という対立の構図となりました。
祖父の遺産分割協議から,15年以上の歳月が過ぎていましたが,
やはり,裁判闘争で激しく対立した過去の恨みがあったからか,
なかなか話し合いはまとまりませんでした。
やむなく再び裁判闘争に発展するかという危険もありましたが,
私が粘り強く交渉した結果,なんとか無事に,話し合いで解決しました。
祖父の遺産分割のときみたいに泥沼化を阻止できて,
本当によかったと思います。
結局,祖母が残した遺言書はお蔵入りとなってしまい,
祖母の生前の思いは実現しませんでした。
このように,遺言書は,ポイントをおさえて作成しないと,
遺留分をめぐる紛争を引き起こしてしまいます。
この遺言書のポイントを,笑顔相続セミナーでお伝えします。
6月30日日曜日と7月7日日曜日の午前10時から
中能登町にあるラピア鹿島第2会議室において,
株式会社ソニックジャパン金沢支社の平田嘉宏さんと一緒に
「笑顔相続セミナー」を開催しますので,
遺言や相続に関心のある方は,ぜひご参加ください。
本日もお読みいただきありがとうございます。