石川県金沢市の労働弁護士徳田隆裕のブログです。
未払残業・労災・解雇などの労働事件を中心に,
法律問題を分かりやすく解説します。
労働者の方々に役立つ情報を発信していきますので,
よろしくお願いします。
パワハラ予防セミナーを開催しました
6月26日,厚生労働省は,
「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000521619.pdf
都道府県労働局や各労働基準監督署には,
労働問題に関する相談にワンストップで対応するための,
総合労働相談コーナーがあり,そこに様々な労働相談が舞い込んできます。
この総合労働相談件数のうち,会社と労働者の労働トラブルが,
民事上の個別労働紛争相談件数としてカウントされていると考えられ,
民事上の個別労働紛争相談件数266,535件のうち,
いじめ・嫌がらせの相談件数が82,797件で最も多かったのです。
平成24年度から,いじめ・嫌がらせの労働相談が
最も多い労働相談となり,その後も増加の一途をたどり,
平成30年度は,対前年比で14.9%も増加しています。
職場におけるいじめ・嫌がらせが,
未だに深刻な問題となっていることが浮き彫りとなりました。
さて,この統計が発表された同じ日,私は,
株式会社シェヘラザード様の
「管理職向けスマートマネジメント研修~パワハラ上司と呼ばれないために~」
というセミナーで,パワハラ予防の講義をさせていただきました。
この研修は,自分がパワハラをしてしまう
傾向があるかを診断してもらい,日々の仕事において,
パワハラをしないように自分を動機づけるというものです。
企業の管理職が,自分が部下にパワハラをしてしまわないかを,
自分で振り返ってもらう研修です。
私は,この研修の前座として,
誰もが安心して働ける職場にしていくために,
パワハラにあたる言動をしていないか意識することが
重要であるという内容の講義をさせていただきました。
パワハラは,被害者の人格を傷つけ,
仕事への意欲や自信を失わせ,心の健康を害して,
休職や退職に追い込むリスクがあります。
また,パワハラが発生している職場では,
雰囲気が悪く,労働者の仕事への意欲が低下し,
職場全体の労働生産性が低下し,退職者が増えます。
パワハラが原因で,会社が訴えられれば,
あの会社はブラック企業だという風評がながれ,
会社のイメージが傷つきます。
このように,パワハラは,労働者にとっても,
会社にとっても,多大なリスクとなっているのです。
パワハラが大きなリスクとなっていることから,
ようやく今国会で,労働施策総合推進法の改正によって,
パワハラの定義が法律に明記されて,
会社に対するパワハラ防止措置義務が規定されました。
パワハラの定義は,①職場の優越的な関係に基づく,
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により,
③労働者の就業環境を害すること,とされました。
この定義では,どこまでいけば違法なパワハラになるのか
わかりにくいのですが,他人の人格を否定する言動が
違法なパワハラになると理解していただければいいと思います。
そして,今回の法改正で導入された,
会社のパワハラ防止措置義務としては,
パワハラに関する相談窓口を設置すること,
研修を実施することが挙げられています。
今後,会社は,パワハラを予防するために,
研修を実施していく必要があります。
私は,株式会社シェヘラザード様のパワハラの診断を受けて,
自己肯定感が高すぎるがゆえに,
横柄や傲慢な態度をとりやすい傾向があると気付かされました。
ちょうど今,司法修習生の指導をしている時期でもありますので,
自分の感情をしっかりとコントロールして,
パワハラにならないように気をつけなければならないと自覚できました。
自分を知り,パワハラと言われる言動をしていないか
自分を振り返り,パワハラを予防していくという研修ですので,
今回の法改正で求められているパワハラ予防のための研修として,
おすすめです。
https://www.sahrzad.jp/s-management/
(株式会社シェヘラザード様のパワハラ予防研修のページ)
多くの企業でパワハラ予防の研修が実施されて,
パワハラが根絶されることを願いたいです。
本日もお読みいただきありがとうございます。