石川県金沢市の労働弁護士徳田隆裕のブログです。
未払残業・労災・解雇などの労働事件を中心に,
法律問題を分かりやすく解説します。
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内定を取り消されてしまったら・・・
大学生が過酷な就活戦線を闘い抜き,ようやくつかんだ内定。就活生も親御さんも,内定が本当に嬉しくて,春から社会人としての第一歩を踏み出すことを心待ちにしているはずです。
しかし,もし,ようやくつかんだ内定が後から取り消されてしまったら・・・。新規に学校を卒業する予定の学生はどうすればいいのでしょうか。
まずは,会社から採用内定が出された時点で,労働契約が成立していたのかを検討します。労働契約が成立していれば,会社は,一方的に労働契約を解約することができないのです。
通常,採用の手続は,①会社による募集→②労働者の応募→③会社から労働者に対する採用内定の通知→④就労開始日になって,労働者が就労を開始するという流れで進みます。
この採用の手続の中で,③採用内定の通知の時点で,労働契約が成立したと考えられます。すなわち,採用内定の時点で,入社予定日を就労の開始日とし,入社予定日までに採用内定取消事由が生じた場合には,会社は採用内定を取り消すことができるという労働契約が成立したことになります。
次に,会社は,どのような場合に,採用内定を取り消すことができるのでしょうか。
会社の一方的な都合による新規学校卒業者に対する採用内定の取消は,対象となった学生と家族に計り知れない打撃と失望を与えます。また,採用内定を受け取った学生は,他の企業の内定を辞退していることが多く,採用内定の取消後に次の就職先を探すのが困難であり,翌年の新規採用に応募するしかなく,1年間を棒に振ることになりかねません。
そのため,会社が採用内定を取り消すことができるのは,採用内定当時知ることができず,また知ることが期待できない事実が後に判明し,それによって採用内定を取り消すことが「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる場合」に限られます。
ようするに,採用内定当時に会社が分からなかったことが後日分かり,そのような理由だったら,常識的に考えて採用内定を取り消されてもしかたがないよね,といった理由がないと採用内定を取り消すことができないのです。
もう少し具体的に説明すると,学生が学校を卒業できなかった場合,学生がはれんち罪を犯した場合,健康診断で異常が発見されて,業務に耐えられないほど重要な場合などといった理由でない限り,採用内定を取り消すことができません。
そのため,もし採用内定を取り消されてしまったのであれば,自分には本当に採用内定を取り消されてしまうほどの落ち度があったのかを冷静に振り返り,納得がいかないのであれば,弁護士に相談してみてください。