石川県金沢市の労働弁護士徳田隆裕のブログです。
未払残業・労災・解雇などの労働事件を中心に,
法律問題を分かりやすく解説します。
労働者の方々に役立つ情報を発信していきますので,
よろしくお願いします。
言葉にできるは武器になる
1 内なる言葉
私は、昨年から、鴨頭嘉人先生が主催している、
「話し方の学校」でスピーチの勉強をしています。
この話し方の学校で、スピーチを検討する際におすすめしてもらった本が、
「言葉にできるは武器になる」です。
スピーチ原稿を作成する際に、とても参考になる一冊です。
今回は、この本から得られた気づきを3つご紹介します。
1点目は、「内なる言葉」の存在に気づくことです。
内なる言葉とは、無意識のうちに頭にうかぶ感情や、
自分自身と会話することで考えを深めるために用いている言葉のことです。
著者の梅田悟司氏は、内なる言葉に意識を向けることが、
あらゆる行動の源泉となる思考を豊にすることに繋がると、おっしゃっています。
内なる言葉を磨く訓練を積むことで、
言葉が生まれる源泉としての思考が鍛えられ、
外に向かう言葉に重みや深みが増すのです。
それでは、内なる言葉を磨くには、どうすればいいのでしょうか。
それは、一人の時間を確保して、内なる言葉と向き合うのです。
ある出来事が起きた時に、自分の中に、どのような内なる言葉が生まれて、
どのように物事を捉え、考えが進んでいくのかを、自分自身で把握するのです。
もう少し具体的にすると、自分の感情を振り返り、
どんな時にどんなことを考える傾向にあるのかを把握します。
私の場合、他の人と比較して、嫉妬心や劣等感を感じることがありますが、
そのようなネガティブな感情に気づくと、自分を客観視できていると実感でき、
物事をポジティブに転換するには、
どうしたらよいかと考えられるようになりました。
自分の考えを明確にできれば、外に向かう言葉もわかりやすくなります。
日常生活で、一人になる機会に、自分の内なる言葉に意識を向けていきます。
2 言葉の重み
2点目は言葉の重みです。
話しが伝わるには、表現も大切ですが、それよりも、話し手が、
自身の体験から本心で語っていたり、
心から伝えたいと思うことによる必死さや切実さの方が大切です。
話し手の経験や体験、そこから得られた思考といった
人間の源泉から湧き出る言葉にのみ込められる真実味や確からしさがあるから、
人に伝わるのです。
確かに、誰かが言っていたことを、そのまま話しても、何も伝わってきません。
話し手の思いが伝わるのは、
話し手が実際に体験したことをもとに話している時です。
話し手の体験とそこから得られた気付きから、
言葉の重みが生じるのだと思います。
十分に自分の気持ちと向き合い、この気持ちを伝えたいという動機が、
内なる言葉を伝える原動力となり、外に向かう言葉が磨かれるのだと思います。
3 常套句を排除する
3点目は、常套句を排除するです。
ここまで、抽象的なことが続いたので、最後は具体的なことを記載します。
メールの文章を作成する際に、「いつもお世話になっております」
という常套句を使用することは多いです。
この常套句は、誰でも使う便利な言葉なだけに、
気持ちや思いが伝わらないというデメリットがあります。
この常套句のデメリットを避けるためには、
当事者だけが理解できる言葉に置き換えることで、
相手との間合いを詰めるメリットを享受できます。
例えば、「いつもお世話になっています」を
「先週の打ち合わせ、ありがとうございました」に言い換えれば、
相手に、親近感が伝わります。
少なくとも、無味乾燥な常套句よりも、相手を引き付けて、
メールの文章を読んでもらいやすくなる効果がえられます。
当事者同士の言葉を意識して、自分らしい表現に変えることで、
自分の言葉を生み出すことができます。
自分の思いを伝えるスピーチをする際に、
とても参考になる一冊ですので、ご紹介しました。
本日も最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。