石川県金沢市の労働弁護士徳田隆裕のブログです。
未払残業・労災・解雇などの労働事件を中心に,
法律問題を分かりやすく解説します。
労働者の方々に役立つ情報を発信していきますので,
よろしくお願いします。
試用期間の途中の解雇の有効性
労働者が会社に就職する場合,
試用期間が設定されることがあります。
会社としては,長期的な雇用関係を前提とする
正社員を採用する際には,入社後の一定期間を試用期間として,
その間に実際に労働させる中で適性を評価して
本採用するかどうかを決定することが多いです。
通常,試用期間中の労働契約については,
試用期間の労働者の適性をみたうえで本採用をするか否かの
決定権が会社に認められていることから,
会社に労働契約を解約する権利が留保されている労働契約とされます。
試用期間とはいえ,労働契約が成立しているので,
試用期間の途中での労働契約の解約は解雇となります。
それでは,どのような場合に,
試用期間の途中での解雇が認められるのでしょうか。
試用期間の途中の解雇も,解雇であることには変わりませんので,
試用期間の途中での解雇が有効になるためには,
労働契約法16条に規定されているように,
客観的合理的理由が認められ,
社会通念上相当といえなければなりません。
試用期間においては,労働者の適性を見極めた上で
会社に本採用をするか否かの解約権が留保されているので,
試用期間の途中の解雇は,本採用後の解雇と比べて
認められやすいと一般的には解されています。
しかし,6ヶ月の試用期間の途中の3ヶ月での解雇について,
ニュース証券事件(東京高裁平成21年9月15日判決・
労働判例991号153頁)の裁判例では,
6ヶ月の試用期間の経過を待たずに解雇する場合には,
より一層高度の合理性と相当性が求められると判断しました。
そして,試用期間の途中で解雇することは,
試用期間を定めた合意に反して,
会社の側で試用期間を労働者の同意なく短縮するに等しく,
労働者が業務上横領などの犯罪を行ったり,
就業規則に違反する行為を重ねながら反省しないなど,
試用期間の満了を待つまでもなく,
労働者の資質や能力を把握できて,
労働者が従業員としての適性に著しく欠けると
判断できる場合でなければ,試用期間の途中の解雇は
認められないと判断しました。
すなわち,試用期間の途中での解雇は,
試用期間中に労働者によほどのミスや不手際が
なければできないということになるのです。
試用期間の途中で解雇されて,納得できない場合には,
弁護士に相談してみてください。
本日もお読みいただきありがとうございます。